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日記

2007年2月15日

カラー・インクのご報告

先日の日記でLUMAカラーを探している事を書きましたが、すぐにヤフオフの出展や、米国の大きな画材店サイトなど、読者の方々からいろいろな情報をお寄せいただきました。どうもありがとうございました。おかげさまでLUMAは近々米国から届けられる運びになりました。これで「アルカサル」の後編のカラーは、生き生きとしたインクで塗れると思うと嬉しくてたまりません。ネットの威力と皆様の熱いご協力に感謝感激しています。本当にありがとうございました!

2007年2月11日

歴史的事実について

「アルカサル」完結編の前に、読者の方々が行く末を様々に案じられているようですね。
どうやら王の娘が英国王族の愛人にされるという小説があるらしいのですが、私も周辺の歴史好きもその小説を読んでいないので、何とも言えませんが、ただ、正統な王の血統はそんな安価なものではない事を知っておいてくださいね。。王女達の結婚は英国王室の系図にも記されており、その子供や子孫はスペインでも英国でも重要な役割を果たしています。王が死んですべてがチャラというほど、歴史は単純ではありませんし、交錯する流れのダイナミズムが歴史の面白いところです。
庶子の王位簒奪という極めて特異な成立基盤をもつトラスタマラ王朝は、当然ながらその正統性を疑われて幾度も危機に陥りますが、結局は二代目で、正統な王の血統を得て安定を図る、という政策を執らざるを得なくなったわけです。その辺の流れは後編で描きます。そこまで歴史を追わなければペドロ王の物語は終わらないと思うので。ですから、百年後の名君イサベル女王にもペドロ王の血は流れている事になります。断片的な情報による誤解もあるようなので、ネタバレを恐れずに歴史的な事柄を書かせていただきました。
こちらも何種類かの資料を付き合わせて創作していますが、歴史的事実を重んじながらも、少女漫画として綺麗な形でまとめたいと思っています。
後編の末尾で、主要参考資料をご紹介しますので(メリメ以外はスペイン語の学術書と伝記です。すいません)、より深く正しく知りたい方は歯を食いしばって挑戦してみてください。
なにせ600年前のこと、とどのつまりは「お前はそれを見たのか?」(by副院長)になるわけですけど。

2007年2月7日

やっと本年最初の日記です

立春も過ぎたところで今更のご挨拶ですが、旧正月になる前に、本年もよろしくお願いします。
先週、「アルカサル」完結編の前編100頁を無事に脱稿しました。ネームの段階で編集長と担当者が落涙してくださり、私も何箇所か、泣きながら原稿を描きました。前編では全体の流れを、大相撲ダイジェスト(笑)のようにまとめました。かなり凝縮された重い内容なので、編集長共々、発売日が金曜日でよかったですねえと。ぜひ、すべての用事を済ませて余裕のある状態で読んでくださいね。こちらは完結させるべく腹をくくって描いていますので、できれば読者の方々にも腹をくくって読んでいただければ幸いです。
後編100頁は6月16日(土)発売のプリンセス・ゴールド7+8月号に掲載予定です。今月はちょっと小休止を入れた後、これからまた後編100頁に向かって(千秋楽結びの一番は、きっと泣きながら描くのだろうなあ)14世紀に引きこもって頑張ろうと思います。

同業者の方で、まだルマ・カラーをお使いの方はいらっしゃいませんか?私のインクはゾンビ化して久しく、死体に鞭打ってカラーを塗るのももう限界。塗ってる最中に色白になったりドドメ色になったりで苦労しています。Dr.マーチンでは色味が違うし…。もし現在も「生きた」ルマをお持ちで、残量に余裕のある方がいらっしゃいましたら、少量でも分けていただけないでしょうか?ゲストブックでお知らせくだされば大変嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。

2006年12月28日

やっと仕事納め

今月はず〜〜〜っと仕事をしていました。法事と打ち合わせ以外には仕事場に詰めっきりで、寝に帰るだけの自宅は大掃除も間に合わない惨状(汗)。宅配便の受け取りもままならず、各地にご迷惑をかけてしまったようで申し訳ありません。
「アルカサル」前編の原稿描きが大体予定通りに進んでいるので、今日でやっと仕事場を切り上げます。掲載誌はA5判なのに、描いているうちにすっかり忘れて、いつもの調子で描き込んでしまいました(アシさんたちも)。お話の内容もかなり凝縮されて、王の人生ぎゅうぎゅう詰めですが、気合が入っていると思ってください(笑)。前編概略、後編詳細の構成になります。
来月はカラーと残りの分で、またず〜っと仕事漬けになる予定です。とにかく百枚頑張ろう。

当人からのご報告が後になってすみません。「エル・アルコン」が宝塚で上演されることになりました。(詳しくは宝塚のホームページでご覧くださいね)
作・演出の斉藤吉正氏は、私の作品をかなり読み込んでいらっしゃるので、若々しい感性で見応えのある舞台にしてくださると思います。ご本人はなぜかロレンスが一番好き(笑)だそうですが、熱血ぶりが伝わってくるようなきらきらした目が印象的な方でした。私の周囲では、家族や友人、アシ一同、各社の編集者が大挙して期待していますので、頑張ってくださいませ。

某M社で「エロイカぬりえ」の企画が進行中です。既出のものとは一味違うぬりえにしたいと、遊び心のK担当さんと構想を練っています。私自身がトレースした絵を使うことになるかも。少佐を金髪に塗ってみたい人もいるだろうし、などなど、読者が遊べるぬりえを作りたいと思っています。来年の秋ごろの予定ですが、楽しみに待っていてくださいね。

2006年10月4日

次作は来年GOLDでアルカサルです。

プリンセス11月号がそろそろ発売になりますので、それに合わせてお知らせします。
番外編「ケルトの幻想マダムの妄想」の最終ページで告知されたように、この作品以降「エロイカ」はお休みして、来年2月16日発売のプリンセスGOLD3+4月特大号に掲載予定の「アルカサル」完結編(100ページ前後編の掲載で計200ページで完結)の執筆作業に入ります。半年くらいかかる予定ですが、それが終わりましたら、またプリンセス本誌で「エロイカ」の新シリーズを再開します。本誌をしばらく留守にしますが、戻ってくるまで待っていてくださいね。

諸般の事情で12巻で中断している「アルカサル」ですが、これまでに再開のお話は何度か出ましたが、それもまた諸般の事情で立ち消えになったりと、ツイてない可哀想な作品ではありました。
この度一念発起したのは、昨年末にささやかな忘年会で「ドン・ペドロを早く成仏させてくれ」と、午前3時まで酔っ払って絡み続けたK社のN村さんの、的を付いたシビアな直言からでした。
社会的にはあと2年で定年世代。体力は落ちる一方。宿題を先延ばしする余裕はもはやない。早く責任を取れと。10年前に共に鬼編集長と闘って以来の戦友の熱き言葉に、発奮させられたわけです。
折りよく、プリンセスGOLDで100ページ企画があるのも、完結させる好機と思われました。
こちらからの申し出に「私の代でアルカサルを完結できるのはとても嬉しい」と二つ返事で引き受けてくださったK島編集長に心から感謝いたします。二人の女性のバックアップを受けて、女好きのドン・ペドロもさぞや喜んでいるやも知れません(笑)。

全編で200ページで完結させるために、これまで時系列に沿ってゆるやかに描いてきた12巻目までとは、まったく違う描き方になります。史実を調べた方はご存知と思いますが、大体12巻あたりまでが王の絶頂期で、それ以降34歳で死ぬまでは凋落の一途をたどります。落ちぶれていくさまを丁寧に追っていくのは描く側も読者も嬉しくないし時間的余裕もないので、史実をおさえながらも、前後編の読み物として成り立つような構成を考えています。どうぞご期待ください。
これから地下に潜って制作に取り掛かりますが、10年前の「ドラッヘンの騎士」以来の一挙100ページなので、10年分の老化と戦いながら、あの時以上の奮励努力で頑張らねばと思います。ううう。

ところで、「アルカサル」には衣服や旗指物に紋章が付き物ですが、最近はきれいな文様を手描きできるアシスタントさんが希少になっています。文様や紋章を描くのが得意な方がいらっしゃいましたら、この場を借りてアシスタントを募集しますので、ぜひプリンセス編集部の斉藤君までご連絡ください。よろしくお願いします。