修道士ファルコ
14世紀の後半のスペイン。ドン・ペドロが統治するカスティリア王国に1人の修道士がやってきた。彼は「ファルコ(鷹)」と呼ばれるシトー派の修道士で、もとはカスティリアの隣国、ナバーラ王国の騎士であった。彼は多くの血を流したことを改悛して、修道士になったのだが、頭にあるアザのせいでトンスラ(剃髪)ができなかった。
ファルコがセビリアの修道院で井戸掘りをまかされている時に、ドン・ペドロ王がお忍びで城を抜け出し、ファルコに剣の立会いをさせる。ドン・ペドロと長時間互角に戦うほどの腕前であったファルコに対し、ドン・ペドロは褒美に王城から水道管を引くことを許可した。 ファルコはその後、ドイツへ赴き、シトー派リリエンタール修道院に落ち着く。そこには元役人のオド、芸術家のアルヌルフなど個性的な修道士がおり、そこで様々な事件に遭遇していくのであった…。
エロイカより愛をこめて
「エロイカより愛をこめて」の一巻が発売された当時、資本主義社会と社会主義社会は真っ向から対立し、その影響でドイツやアメリカとソ連(現在のロシア)は、常に冷戦状態にあった。そんな中、イギリス美術窃盗団のボスであるドリアン・レッド・グローリア伯爵(別名“エロイカ”)と、NATO(北大西洋条約機構)に属するドイツ人クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐(別名“鉄のクラウス”)、KGB(ソビエト国家保安委員会)の「小熊のミーシャ」などが、さまざまな事件や思惑の中で複雑に絡み合う。
美青年愛好家であるエロイカは、エーベルバッハ少佐にも並々ならぬ関心を抱くが、異常なまでの潔癖症である少佐は、徹底的にエロイカのアプローチを拒み続ける。しかしこの二人、常に敵同士かと思いきや、場合によっては見事なまでのコンビプレイを披露するパートナーになる。ほかに、少佐の部下であるA(アー)、B(ベー)、Z(ツェット)、伯爵の部下で金に異常な興味を示すジェイムズ君、同じく伯爵の部下で機械が得意なボーナム君など、ユニークな登場人物が多数登場する。
アルカサル-王城-
主人公ドン・ペドロは、カスティリア王アルフォソン11世と王妃マリアの嫡男として生を受けるが、政権は国王の愛妾・レオノーラ・デ・グスマンが握り、王妃マリアと王子ドン・ペドロは父王の愛を得られぬ幼少時代を過ごした。父王が戦場で病のため急死をすると、わずか15歳で即位することになるが、宰相ダルブルケルケの思うがままに国政を握られてしまうが、国王と愛妾の間に生まれたエンリケ・デ・トラスタマラなどと手を結び、宰相ダルブルケルケを追放し、親政を行うようになる。 しかし幸福な時は長くは続かず、庶子のために王位継承権がないことを怨むエンリケら王侯貴族の裏切りによって全ての権力を剥奪され、幽閉されてしまう。 この経験を境にドン・ペドロは決して他人を信じず、各地に密偵を放ち、裏切りを許さない残酷王となった…。
14世紀スペインを舞台に、奔放な情熱と冷酷な策謀で「残酷王(エル・クルエル)とも呼ばれた、カスティリア王国の若き王ドン・ペドロ1世の波乱の生涯を描く。
イブの息子たち
ロンドンに住む3人の芸術家、3人のリーダー的存在の詩人のバージル・ワード、情に厚く、ホットな心の持ち主のピアニストのヒース・イアソン、女の子のような美貌で人気者のロック歌手のジャスティン・レイ。彼らは実は、イブのあばら骨から生まれたヴァン・ローゼ族であった。男でもなく女でもない上に、同じヴァン・ローゼ族にしか愛情をいだかない彼らだが、バージルとヒースは自覚のないジャスティンを目覚めさせようとするが、変態扱いをされてしまう。 そんな3人が天使に導かれ、ヴァン・ローゼの世界に強引に連れ去られてしまう。 ある時は「地底王国」、またあるときは「オリンポスの世界」だったりと…。
ヴァン・ローゼの世界はパラレル・ワールド。3人は予想もつかない様々な事件に巻き込まれていく…。